JULA出版局イベントレポート| 2025.03.06
絵本作家・きくちちきさん講演会

デビュー以来、次々と魅力的な絵本を生みだしている、絵本作家・きくちちきさんの講演会が福岡の八女と大野城市で開かれました。
2月22日は「ぼくとかぞくと絵本」(おりなす八女・はちひめホール/八女市・八女市教育委員会主催)、翌23日は「ちきさんの絵本づくり―100年後の子どもたちへ」(大野城まどかぴあ・多目的ホール/春日市子ども文庫・読書サークル連絡会主催)とそれぞれ題して、どちらも聞き手をJULA出版局の北尾知子がつとめました。
ちきさんは、デザインの仕事についたものの思うようにはいかず、その後アルバイトをしながら悶々とした日々を送っていましたが、ある日、骨董市で出会った100年前の絵本に衝撃を受け、「自分も何かつくらねば」とこみあげた感情を絵本の世界にぶつけていきます。そして、デビュー作『しろねこくろねこ』(2012年/学研教育出版)で、いきなり権威ある絵本の賞であるブラチスラバ世界絵本原画展の「金のりんご賞」を受賞します。
私たちJULA出版局との出会いは、デビュー翌年の2013年。その日から8年の時を重ねて生みだされたのが、美しい木版画の描き分けによる絵本『おひさまわらった』(フレーベル館発売)でした。自然のなかで、さまざまないのちとボーダーレスに出会う幼い主人公の物語、コロナ下で世界とつながることの難しさをかみしめているときに、きくちちきさんが深いメッセージを込めた、私たちにとって大切な1冊です。
講演では、ちきさんが絵本作家になるまで、ご家族と絵本について、絵本制作の苦労や作品への思いなどを、やさしい語り口で、ユーモアを交えて話されました。
お話に合わせて何冊か絵本を読んでいただき、「おやこでよもう!金子みすゞ」シリーズ(フレーベル館発売)から、2編のみすゞの詩の朗読もしていただきました。
おりなす八女では、ライブペインティングも披露
100年前にフランスで生み出された絵本が、100年後のちきさんに衝撃を与えたように、本当にすぐれたものは年月を経ても生きつづけます。童謡詩人金子みすゞの詩は、約100年前に生まれ、一度は忘れられましたが甦り、今では世界に広がっています。
今を生きる子どもたち、そして100年後の子どもたちへ、大切なものを届けていかなくてはと、ちきさんの講演会をお手伝いさせていただきながら、私たちも考えていました。
大野城まどかぴあにて